インフォメーション・ブログ
2017-09-05 15:53:00
運動コラム①
夏休みも終わり、学校や幼稚園での生活を取り戻しはじめてきたのではないでしょうか!?
朝晩と涼しげな空気となり秋の訪れを感じはじめています。9・10月には運動会があるという方々もおられことかと思い、以前にFacebookでもお知らせしたことがあるのですが、「運動神経と発達の時期について」お知らせできればと思います。
一昔前まで、運動神経は遺伝によるところが大きいと言われていましたが、ここ数年の研究では10%ほどしか遺伝の影響がないと言われるようになってきています。では、運動神経を決めるものは何なのか?簡単にお伝えできればと思います。
運動神経を左右する大きな要因は“環境”です。しかし、発達していくのに適した時期が存在し、俗にゴールデンエイジ期と呼ばれます。しかも、その時期は大きく3回に区分されるようです。
プレ・ゴールデンエイジ期
3~6歳ごろの時期で、神経系が大きく発達するのが特徴です。この時期は、何かをやらせるというよりは、興味を持ったものや「遊び」の中で、運動神経は勝手に発達していきます。ただ子どもがやりたがる運動を楽しみながら、精一杯やらせてあげることが大切です。
ゴールデンエイジ期
10~12歳ごろの時期で、神経系の発達がほぼ完成し大人変わらない、脳と身体の神経ネットワークが構築されます。この時期は、動きを頭で理解して身体に伝えるのではなく、見たものやイメージしたことを瞬時に身体全体で技術を吸収していく特別な時期です。この時期には、プロ選手が見せるような高度なテクニックを身につけることが可能であり、脳が学習したものはその後も忘れることはありません。しかし、小学生がオリンピックには出場しません。その理由が次の時期です。
ポスト・ゴールデンエイジ期
13歳以降、とくに高校生ぐらい。この時期は骨格や筋肉が主に発達していきます。そのため身体のバランスが今までとは異なっていき、今までの感覚とのズレが生じ、習得した技術が一時期できなくなってしまったり、上達に時間がかかったりすることもあります。フィギュアの浅田真央選手も、この時期ごろからトリプルアクセルで苦戦していました。
プレ・ゴールデンエイジ期を、小学生低学年ごろまでとする話もありますが、バランス能力、巧緻性などの発達に重要な時期であることに変わりはありません。(有名なスキャモンの発達曲線を見ていただけると、お分かりかと思います。)
運動刺激により神経系が発達するので、脳にもいい影響を与えます。人間は使わない能力は、退化していきます。言語を例に、日本の環境では日本語を話せるようになり、アメリカの環境では英語を話せるようになります。つまり、環境により必要のないものは失われ、逆に必要で使ったものは発達していきます。(ただし、一度習得したものは時が経過しても失われることはありません。)
と、ここまで書きましたが、あくまで一般的な発達・発育のうえでの時期的なものを、科学的に説明したにすぎません。オリンピックに出場する選手は、幼少期から一種目だけやっていることが多く他の種目が苦手だったりします。気をつけなければならないのは、運動や練習が「したいこと」から「すべきこと」になってしまうことです。運動嫌いな子はいません。生まれてハイハイして、立ち上がり、歩きはじめます。3歳ぐらいの子は、走り回ったり、その場でジャンプしたり、ぐるぐる回ってたりします。大人には理解ができなくても、当人たちはそれが“楽しい”んです。では、なぜ運動嫌いの子存在するのか?それも冒頭にあるように“環境”です。
大事なのは、大人が一緒に身体を動かして「遊び」のなかで、一緒に楽しむことではないでしょうか?そうすれば、運動嫌いな子はいなくなります。
ゴールデンエイジの他にも、運動ではレディネス(何かを始めるのに最適な時期という考え方)や、臨界期(その時期を逃すと習得できない時期。ひな鳥の刷り込みや、人間だと視力の発達には小学生時期が大きい)という考え方もありますので、またお知らせできればと思います。